乙女的恋革命ラブレボ



 ―はないちもんめ― 23









朝起きると



可愛い可愛い弟の寝顔が



俺の心臓を直撃した



唇が触れるのではないかと思うほど至近距離で俺に抱きこまれるように眠っている



正直顔が緩みまくるほど可愛い



(ぅぉぉおおおおぉぉぉ・・・!!!)



可愛い!と勢いで抱きついてギュっと抱きしめる
俺の腕の中でもぞもぞと気持ち良さそうに身じろぎする

嗚呼・・・なんて可愛い弟・・・!!



「お宅等・・・はたから見たら本当にやばいからその辺にしておけよ」



その声が今度は頭に直撃する



「・・・ぅっ・・・」

「あ〜あ〜、二日酔いだろ、昨日あれほど浴びるように呑めば当たり前だな」



呆れた声を頭上から捉えて
を起こさないようにゆっくり布団から這い出ると痛む頭を押さえた



「・・・先生、昨日は・・・えっと・・・」

「ホラ、二日酔いに効く薬だ」

「ああ、有り難う御座います・・・」



水と一緒に錠剤を渡されて気持ち悪さの中、その水と一緒に薬を呑み込んだ
そんな俺の様子に先生はコメカミを抑えながら



がそんな様子じゃあ帰りは俺が運転だな」

「すいません」



苦笑いで謝りつつ部屋の中を見渡す
一ノ瀬君と華原君の姿が見当たらなくて
そんな俺の視線の動きに気が付いた先生はタバコを口に咥えながら説明してくれた



「二人は朝風呂中だ、全く・・・昨日は酷い醜態っぷりだったな」

「え?お、俺何か・・・」

「・・・それはに聞いた方がいいな」



ボソリとあさっての方向を向いたまま告げる先生
横顔はどこか不機嫌そうな雰囲気を纏っていて
そんな様子に俺は痛む頭を抱えてまるで白い霧でもかかったかのような
昨日のボンヤリした記憶を思い返す

確か、に嬉しい事をしてもらったような覚えもあるのだが

何か、意外なものを眼にしたような記憶もある

思い出そうと頭を捻れば捻るだけ襲ってくるのは激しい頭痛
これでは痛みで思い出すものも思い出せない、と諦めてまたの眠る隣にゆっくり身体を横たえた










力なく、しかし頭に響かないようにまた横になったの兄
そんな様子を見てまた、俺は深いため息をついた

昨日SPに酔いつぶれたをおぶらせて部屋に戻ってきた
風呂上りにも関わらずその肢体は酷く冷え切っていて
俺は何をしていたんだ、と不機嫌に訊ねた
しかしは困った表情を見せただけで自分の兄を既に敷かれている布団に横たえさせると
SPは退室しては当然のように兄の隣の布団に潜り込んだ
俺と一ノ瀬、華原も既に布団に入っていたがを挟む形で
と俺が両サイドに寝ていたのだが

それから暫く暗い中一ノ瀬と華原、の三人は雑談をしていたのだが
寝ぼけているのか、が布団に入ったと同時にに抱きついた兄はそのまま
でかい声で寝言まで言っていた



「・・・は誰にも渡さないぞ!」



これほどにハッキリとした寝言は初めて聞いたかもしれない
なんの脈絡もなく部屋に響いたブラコンの発言に
何を思い出したのか頬を染めて「もう寝るか」と話を切り上げたのだ
全く、夢の中でもかなりのシスコンでブラコンなのだから始末に終えない
それを隣で眠ろうとしているに告げれば



「まぁ・・・でも・・・そんな鷹士が俺もヒトミも大好きだからさ」



後ろで引っ付いて離れない実の兄の頭をなでなでしつつはにかみながら答える
そんな表情が気になって風呂場でなにかあったのかと訊ねれば



「・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・別に」



なんだその間は
と思わず突っ込みそうになってその前に「おやすみ!」と
話を強制終了させられてしまったのだ
部屋に入ってきた時のの身体は既にの体温で温められていて
結局今日、朝起きた時には
俺を含めて一ノ瀬も華原も呆れていた


そりゃあ、良い年した男二人、しかも兄弟が
一つの布団に幸せそうな表情で眠っていれば誰だって呆れる


華原はデジカメで数枚、その二人の
そして単体の寝顔を撮っていじわるそうな笑みを浮かべつつ
の寝顔は可愛いけどお兄さんの腕の中じゃなかったらもっと可愛かったのになー」
等と呟いて一ノ瀬を朝風呂に誘って出て行った
思わず華原の意見に頷いてしまっていた一ノ瀬を横目に行ってこい、と送り出したのだ



(・・・俺も泥酔しつつに絡んでみれば良かったな)



煙草をふかしつつの寝顔を見つめる
あのの扱い方に意外と世話焼きでおせっかいそうだと思った瞬間
やっぱり彼女と双子なんだなと思い返す
惜しい事をしたものだ、と珍しく二日酔いしていない自分を恨んだ
運転できるのは俺との二人だけで
昨日アレだけが泥酔していれば俺が量を抑えるのも無理は無い



「・・・保健医?」

「おー、起きたか」

「・・・おはよ、鷹士」



「おはよう、



隣で頭痛に眼を閉じていたの覚醒に無理に起き上がって弟に笑みを向ける
(・・・ったく、筋金入りのブラコンだな)
二日酔いで辛いのを見せないように弟に微笑む



「・・・」



は至極当然のように兄に抱きついて両頬にキスを送る
そんな光景に口に咥えていた煙草を落としてしまって慌ててそれを拾い上げると灰皿に置いた
少し、座布団がコゲたが黙っておこう
向こうでの挨拶なのだろうが

ここは日本だぞ

目の前の光景に僅かに眉を顰めて灰皿においていた煙草をまた口に咥えた
もうこの兄弟は視界には入れない
不愉快だ、と心のどこかで思いつつスパスパと煙草を吸っていたら
突然声をかけられた



「保健医」

「・・・ わ か つ き せ ん せ い だって何回言えばわかんだよお前は」

「今は先生じゃないだろ、だから生徒の前で堂々と煙草ふかしてんじゃねーの?」

「・・・」



小悪魔的笑みで俺に四つん這いで近寄ってきた
その発言に俺も暫し考えてニヤリと口の端を吊り上げた



「そうだな、今は先生じゃないな・・・だったら保健医でもねーよなぁ、ん?」

「・・・そう言えば・・・そうだな」



煙草を灰皿にトントンと突いて灰を落とす
俺の発言にきょとんと表情を無くして考え込むように呟いて
俺は更に笑みを深くする
そんな俺とのやり取りに嫌な予感を覚えたのか
後ろに居たも神妙な顔つきになっていた



「そう、今の俺は保健医でも先生でもない
・・・龍太郎さんって呼べよ、ちゃん?」

「・・・保健医・・・」



整ったの顎を捉えてクイと此方に向かせると俺の視線を捕らえたのは金色がかった瞳
げんなりと表情を歪めた



「ついでに可愛くオネダリできれば・・・
また 『 あの時 』 みたいに煙草の味、くれてやってもいいぞ?」

「味じゃなくて1ダースくれれば嬉しいんだけど」

「未成年に煙草はやらねーよ」



「あ、あの時って・・・・・・?」



俺との怪しい会話にとうとう耐え切れなくなったのか話に割り込んでくるの兄
俺は冷ややかな視線でそれを見て見せ付けるようにの顎を引き寄せて
鼻がつく距離まで接近すると

電光石火とはこのことか

すぐさまが俺との間に入ってべりっと引き剥がす
そして弟を抱きこんで俺を睨み付けた



「先生!冗談でもにそう言う事はしないで下さい!!勿論ヒトミにも!!」

「・・・冗談じゃなく本気だと言ったら?」

「なっ・・・!?」



無表情でを見据えて告げる
俺の言葉に驚愕に表情を変えたは冗談じゃない!と更にを俺から遠ざけた
その様子を見て声を出して笑う



「とことん大切にしてるんだな・・・冗談だ、本気に取られるほうが困る」

「全く、先生が言うと冗談に聞こえない・・・」



まだ警戒を解かないを見て
やっぱり俺も思いっきり酒を飲んでおけば良かったか、と

笑いながらも心の中で舌打ちをしていた