乙女的恋革命ラブレボ



 ―はないちもんめ― 41









こっ・・・



こんの筋金入りのブラコンがぁぁ・・・!



まるでプロポーズともとれる鷹士の盛大な発言

最初はまさか、また部屋に入ってくるなんて微塵も思わなくて
ケビンの呻くような声と共に開かれた扉
そしてそんなに強かったのか!?と驚愕せんばかりの鷹士の身のこなしに唖然として
出て行けという間も無くがばーっと抱きついてきた鷹士は
これでもかとでかい声で今し方の台詞を病院に響かせた

そしてその発言で先程の鷹士の行動は
拒絶されたと思い込んだ俺のはやとちりだと解ったはいいものの
途中から「もう止めてくれ」と言いたかったのに
絞め殺されるのではないかというほどきつく抱きしめられてしまって言いたい事も言えない
しかもきつい抱きしめ方に少しでも心地よさを感じてしまった自分は
ストレートパンチでも食らったかのような気分になった

そして終わり方が反則過ぎる
「好きでいてもいいか」なんて聞かれて答えられるわけないだろうが!!!
しかも俺の顔を覗き込もうとしてるし!!

頼む、頼むから今俺の顔を見ないでくれ



絶対真っ赤に紅潮してるであろう事は明白だから



肩口から病室の出入り口でケビンとジェイが憎らしい笑みを浮かべている
なに笑ってんだよ
その笑い方スっゲームカつくんだけど
なんだよその「微笑ましく見守ってます」的な雰囲気は

ああ、だめだ

嬉しすぎて目の前ぼやけてきた

畜生、泣く、なんて行為、ケビンの前でしかしたことなかったのに
それもこれも全部鷹士の所為だ、責任とれよこの野郎
一瞬でも一番拒絶されたくないと思っていた相手に拒絶されたと思って
凄く悲しい思いをさせたんだからな

ぼやけた視界に鷹士の顔が入って
直に慌てたような声が耳に届く



!?ど、どうしたんだ!?真っ赤じゃないか!!どっか痛いのか!?
い、いいいい医者!!先生―!!!」

「・・・」



さっきまで切羽詰った発言してたくせに相変わらずの反応で
離れて行こうとする鷹士の腕を僅かに引いて
それに気がついた鷹士はまた心配そうな目で俺を覗きこんできた



「だ、大丈夫か!?痛いトコないのか?熱とかないのか?」



まだ見当違いな発言をしている鷹士
下を向いたまま瞬きをした所為で涙が数滴、鷹士の腕に落ちる
その様子にやっと動きを止めた



「さっきの答え、聞きたくないのかよ・・・」

「・・・え・・・」

「聞きたく無いなら先生でもなんでも呼びやがれこのブラコン!!!」

「うあ!?」



ばしぃっと鷹士をつかんでいた腕を跳ね除けてジトリと涙目で睨みつける
そんな俺の反応に慌てたように突っぱねられた体をまた俺の座っているベッドに張り付かせて
俺を下から見上げてきた



「あ、い、いや、聞きたい!物凄く聞きたい!是非聞きたいから答えてください!!!」



必死の形相で俺を見上げる目
(・・・折角気持ちよかったのに)
さっきまで俺を抱きしめていた腕がベッドに張り付いていてそれを見つめて
つん、と顔を窓側に逸らすと鷹士は更に慌てたように窓側まで来て
さっきより数倍死にそうな顔で見つめている
また視界に入ってきた腕を見つめていると俺の視線で気がついたのか


流石兄とでも言うべきか


今度はふわりと壊れ物でも扱うかのような手つきで俺を包んでくれた
その動作が一瞬だけケビンと被って
そこでやっと颯大や剣之助がケビンと鷹士は似ている、と言った意味が解った気がした


ということは

俺は向こうに居る頃、ケビンに鷹士の面影を探していたのだろうか

それもずっと、ずっと前から

与えられた体温に目を閉じて思い出すのは


初めてケビンとであった頃
強姦未遂で精神的に追い詰められていた俺は
病室で初めてケビンと顔を合わせた
初めてケビンを見た時俺はなんと言っただろうか



「鷹士・・・」



その頃の俺の声と、今の俺の声が重なる

そう

俺はあの時、ケビンを鷹士と間違えて
きつく抱きついて、その腕の中で泣きじゃくってたんだ



?」



鷹士の気遣うような声が耳元で聞こえる
あー・・・必要ないことまで思い出しちゃったよ
全く、恥かしい
そんなことを思いつつ鷹士の背中に回した腕の力を少しばかり強める


一度しか言わないから良く聞けよ


このブラコン




「・・・俺も、鷹士の事は・・・好きだからさ」




だから好きでいていいよ
そう呟けば、いっそう強くなると思っていた腕の力は逆に弱まって
両頬に鷹士の手のひらの感触を受ける
予想外の行動に内心首をかしげていると目の前に瞼の伏せられた鷹士の顔があった


(・・・へ?)


一瞬


思考が真っ白になった


それはあの時


旅行の時、露天風呂の脱衣所で不意打ちに受けた口付けの時と同じだった
























先輩!退院おめでとー!!!」

「良かったッスね、早く退院できて」

「あ、ああ、サンキュー、颯大、橘」



ヒトミ先輩から今日先輩が退院するという吉報を受けて
マンションの玄関内で剣之助と数分前から待っていたらタイミングよく先輩が顔を出した
後ろにはSPのジェイさんとケビンさん

そして



「うわ!た、鷹士さん!?どうしたんですかその頬!!?」



既に手当てされているのか白いガーゼで覆われているのだが大きさが尋常ではない
その頬の怪我(?)を指摘すれば鷹士さんは苦笑いで「大した事ないよ」と言って
モロモロの荷物を持ってそそくさとエレベーターに急いでしまった



深水が鷹士さんの怪我を指摘した瞬間体感温度が10度ぐらい下がった気がした



というのは剣之助の後日談である