乙女的恋革命ラブレボ



 ―はないちもんめ― 50









始めは

を1人の男として認めてやれば仲直りが出来るものだと
簡単に考えてしまっていた

でも

土壇場で気がついてしまったんだ
俺の目の前でと華原がキスをして

写真を見たとき以上のショックを受けた
不覚にもその場から動けなくなった
まるで鈍器で頭を殴られたかのような衝撃を受けてしまった

その時にやっと

先程先生が言っていたことの意味を本当に理解できたんだ



「・・・



華原が部屋から出て行って
無言で俯くの目の前で脚を組んで俯いた頬に触れようと手を伸ばす
しかしそれは渇いた音を立てて振り払われて
それでも触れられるまで何度もそれを繰り返せば



「触んな!!」



最後には言葉が吐き出されて
それでも尚、何度も繰り返されるその行動に諦めたのかやっと頬に触れることを許してくれた
依然顔は俯いたまま、それでもこれは伝えなければ、と心の中で決意する



・・・兄ちゃんは・・・に嫌われることを言うかもしれないけど
それでもどうしても言いたいことがあるんだ」



その言葉にピクリと肩を震わせて、僅かに乱れていた呼吸が静まり返る
それを確認して聞く意思があるのだと判断すると
俯いた顔を上げるように促して、やっと見えた瞳は既にゆらゆらと頼りなく揺れている



、兄ちゃんは・・・」



言いかけて、目の前でスっと流れ落ちた雫に言葉をなくす
綺麗な金色がかった瞳から零れ落ちた一筋の涙は、一瞬で俺の言葉を遮ってしまった
まるで誘われるようにその涙を指先で掬い取って
俺の指の動きを追うように動いた瞳は戸惑うように俺を見上げる

誰が言ったわけでもない

それでも拒む気配を見せないの様子に従うように
無意識に顎を捉えて流れるような動作で触れるだけの口付けをしていた



「・・・」



驚いて目を見張ったの目を視界に収めて
直に離れた唇をそのままに、鼻が当たるほどの近距離で
正面からを見つめた
少しの間を置いて、やっと状況を理解したらしい
一瞬で眉間に皺を寄せると手を振り上げる
そして何かを叫ぼうとしたのか、口を歪ませた瞬間に



「うっ!?」



その振り上げられた手首を押さえ込んで更に何かを言おうとした唇を塞いだ
二度目に既に抵抗を見せていたはすぐさま俺の肩を押し返して
その拍子に唇が外れる



「何やってるか解ってんのかよ鷹士!!」



怒鳴るの声を無視して、少し強引に腰を捉えると
そのまま抱き上げて、直隣にあったベッドに押し倒す



「た、鷹士!?何考えてんだ!?おかしいだろ!!
おかしいって・・・!」



突然のことに混乱したは覆いかぶさった俺を払いのけようと両腕をバタバタさせて
手際よくその両手首をベッドに押し付けると驚愕しているを見据える
しかしその目は次の言葉で更に見開かれた



「愛してる」



はまるで放心したように抵抗をすることもなく俺を凝視していた
瞬きすら惜しむほどに



自覚した



『 俺 』 は



を愛してる



目の前で見せ付けられたあのキスを今の衝動がかき消そうと俺を突き動かす
兄ちゃんとしてではない、やっと自覚できた時
愛しさより先に、憤りが俺を覆い隠して、代わりに残酷な感情が顔を出していた

誰にも渡したくないという独占欲が

でもその感情は長く続くことはなかった
完全に拒絶を示す言葉が愛しい存在から放たれて



「嫌だ!!!」



瞬間

全身の血の気が引いていくようなそんな感覚に襲われていた

その一言で一気に冷静になった俺は、自分の下にいるの表情を見て
まるで逃げるように、その部屋を飛び出してしまったんだ















「・・・」



キノコだ

でっかいキノコが談話室に生えている

あれは間違っても高級な松茸なんかじゃない
きっと世界最強の猛毒を持ったキノコだろう
トリカブトも吃驚って奴だ

キノコを見つけたと同時にポロリと落としてしまったタバコを拾い上げて
あの様子だと更に最悪な方向に展開してしまったであろう事は容易に想像がついた

っていうか今何時だと思ってるんだか
夜中の三時だぞ、夜中の三時
オバケかと思ってちょっとビビってしまった事は俺だけの秘密だ

しかも暗い、暗すぎる
あの雰囲気ではオバケすら逃げていくのではないだろうか
しかしまぁ付き合い上放って置けるわけも無い



「せめて人畜無害のキノコになれよ」



むぉん、と紫色の気配を漂わせて頭や足やとそこかしこにキノコを生えさせた対象に告げる
しかし耳にも届いていないのか無反応
膝を折り曲げて顔を覆い、器用にソファーに腰を沈めている姿を見ていると
ドコからかともなく般若信教が聞こえてきそうな勢いだ
まぁ腐ってるよりはキノコを育ててるほうがマシだろうが

(いつからここは冥土になったんだオイ)

そんな事を思いつつチラリとキノコに目をやりつつ



「一杯奢るぞ」



実は寝酒を買いにコンビニに出ていたのだ
行きがけは談話室に視線を向けることもなく気がつかなかったのだが
運悪くマンションに入った瞬間にこの生き物に気がついてしまったのだ
ガサリと手にしていた袋から缶ビールを取り出して
フタを開けて試しに目の前に差し出してみれば

音速ともいえる速さでそのビールを取り上げられて
ものの10秒で飲み干してしまった

(・・・)

これはかなりの重症だ



「・・・俺の部屋で飲み直すか?」



そう問えばコクリと頷くキノコ

(・・・はぁ・・・しょうがねぇか・・・)

明日は二日酔い決定だな、と判断して自室へと歩くと
俺の背後を腐り始めたキノコの幽霊がついてきた